クリーン・スペースとEK

(クリーンな空間、Clean Space

     クリーン・スペースとEK (Emergent Knowledge:知識の発生    

 

クリーン・スペースのプロセスでは、自分と自分の周りの空間との関係を発展させることで、その空間が心理的活動空間となります。その空間を活用することで問題解決を導くプロセスを進めていきます。EK(知識の発生)は、デビッド・グロブ曰く、6次の隔たり(six degrees of separation)、スモール・ワールド ネットワーク(small world network)理論、スティーブン・ジョンソンの「創発—蟻・脳・都市・ソフト・ウェアの自己組織化ネットワーク」(Steven Johnson, Emergence: The Connected Lives of Ants, Brains, Cities, and Software, 2002)にその理論的基盤を置いています。EKの発生は1984年、1985年頃に遡ります。デビッドとカイ、そしてデビッドのメンターのビル・ローエンともう一人の同僚との会話より生まれました。

 

 

EK (知識の発生)

 

ここでは、空間を使用してのEKの部分的説明にとどめておきますが、クリーン言語の質問を活用してメタファーを発展・成長させるプロセスの中にもEK(知るということの発生)が存在します。デビッド・グロブのワークショップに参加した時の私のノートの抜粋を掲載しています。

 

空間を用いたEKモデル:

 

A(人)がB(目標)を達成しようとする時に、うまくスムーズにB(目標)に到達しない時には、様々な問題や過去の記憶が妨げとなっていることがあります。その状態では、C空間がその間に存在します。A がすでにB(目標)に近接していないのは、 その間にCという空間が存在するからです。つまり、C空間は目標到達を困難する問題、過去の記憶が存在する問題の空間である、と捉えます。D空間はC空間の外に存在して、C空間を形成している要素から自由な空間です。EKモデルでは、A-----àB という目標への直線コースではなく、隣接する空間(adjacency)に関心を向け、Aの現時点から隣接した地点、そしてその地点から次の地点、とリンクを作ることでネットワークを形成し、そのプロセスの中で、C空間から問題を作り出した思考方法・感情から自由なD空間へと移動するよう導きます。

 

有名なアインシュタインの言葉に、問題を作り出したレベルの考え方で問題解決はできない、という言葉があります。目標に到達することが困難な時、それに苦闘する時はいろいろな問題がその到達を阻んでいるのですが、そういった問題の空間から自由である空間に移動することに思考のレベルが変化する鍵があります。

 

空間を用いたEKプロセスには、実際に空間を動くだけでなく、フリップチャートを使う方法もあります。

 

2006年、2007年 英国サモセット地方、米国ミズーリ州コロンバスにおけるデビッド・グロブの集中セミナー・ワークショップより)

 

 

クリーン・スペース

 

自分と自分の周りの空間との関係を発展させることによって、その空間が心理的に活動する空間へと発展し、そのプロセスの中で、創造的な答えを発見していこうという手法です。「(心理的に活動した)空間に知恵や叡智が存在する。」(デビッド・グロブ)

 

クリーン・スペースの項は、近日加筆します。

 

簡単な実践例:

 

自分でする場合は、自分に質問をします。ペアを組んでする場合は、質問を相手にしてもらいます。

 

1.まず、大きめのカード(または、コピー用紙、フリップチャート)を用意します。色鉛筆、色マジック・マーカー等もあれば使います。

2.自分のゴール、または、今回の実践では、深刻ではない軽い問題を選びましょう。

3.選んだゴールか問題を、自分の好きな色を使ってカードに記入します。

4 そのカードをテーブルに置いてもいいですし、壁に貼っても、床に置いてもいいです。部屋の中で、そのカードをどこかに置きます。

5 部屋の中を動いて、次に自分が立ちたい(座ってもいいですし)地点へと移動します。その時、いろいろと頭で考えないで、体の向くまま、足の向くままに移動するとスムーズなプロセスが進みます。ペアを組んだ時は、相手は、「そこから行ける別の空間がありますか。」(Is there another space you can go from there?)と促します。

⒍ 「そして、それについてそこから何がわかりますか。」(What do you know about that from that space there?)と自分に質問を投げかけます。(ペアを組んだ相手が質問します。)

7 その答えを、自分でカードに記入します。(これで一回目の動きが完了)

8 そして、次に動く地点を選んで動きます。

9 「そこから、それについて何がわかりますか。」の質問を投げかけます。

10 その答えをカードに記入します。(これで二回目の動きが終了)

 

この作業をあと4回、合計6回繰り返します。その都度、新しい地点に動き、その地点より判ったことをカードに記入します。

 

そして、その後、新しい地点に動きます。 その地点から、このプロセスをまとめます。「その空間から何がわかりますか。」そして、このプロセスを通して、自分の判った事を話します。

 

また、この手法では、フリップチャートを使い、自分と目標・問題との空間の位置関係をぴったりのものにすることで、問題や目標の変容が生まれる方法も活用します。